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社長依存の「海賊船」から自律して回る「軍艦」へ。アローリンクが直面する30人の壁

9月24日
読了時間: 6分

前回のルーツ編では、佐藤社長がアローリンク創業に込めた「経済と道徳の両輪」という強い執念について迫りました。


続く第2回となる今回は、会社が拡大する中で直面している、生々しくリアルな組織の「現在地」と「課題」について本音で語っていただきます。



■ 3拠点化で開いてしまった、社長と現場の「心理的距離」


――創業期を経て、現在は新宿・杉並・渋谷の3店舗、約20名規模まで組織が拡大してきました。順調に成長しているように見えますが、内部ではどのような課題を感じていたのでしょうか?


佐藤社長: 課題しかないというのが正直なところです(苦笑)。

一番大きくのしかかってきたのが、コミュニケーションの壁、つまり拠点が増えたことによる社内の人間関係の希薄化でした。決して仲が悪くなったとかそういう話ではなくて、物理的な距離ができたことで、お互いの繋がりというか、感覚的な距離が空いてしまったんです。


――店舗が分かれたことで、これまでの「当たり前」が通用しなくなったと。


佐藤社長: そうなんです。現場からもちょこちょこ「最近、社長が何を考えているのかよく分からない」という声が上がっているのが、僕の耳にも入ってきていました。

年に1回、メンバーとマンツーマンで食事に行く機会を作って話をしてみたときも、「え、それ前に伝えたはずなのに、全然伝わってないじゃん」ということが随所にあったんです。


落ち着いた真剣な表情でお話をしてくださる、佐藤社長。

――社長の意図が現場に届かなくなっていたわけですね。1店舗の時代とは何が違ったのでしょうか。


佐藤社長: 1店舗のときは、僕が毎日現場にいて、全ての指示を出したりミーティングに参加したりできました。

だから、ちょっとした「解釈のズレ」が起きても、その場ですぐに僕が修正できていたんです。

ある意味、間違えようがない環境を僕が力技で作っていた。でも、3拠点になると僕の目は物理的に届かなくなります。



■ 店長陣のマネジメント不足と、放置される「解釈のズレ」


――社長の目が届かなくなった結果、現場の体制はどう変わってしまったのですか?


佐藤社長: 各店舗に店長という責任者を置いて、僕の指示を店長経由で営業メンバーに伝えてもらう構造にしました。

でも、いざ僕が現場を離れてみると、店長たちは僕の指示通りに動いていただけで、自分たちで自律的にマネジメントできていなかったという現実にぶち当たったんです。


――社長がいなくなったことで、店舗の判断が止まってしまった、と。


佐藤社長: まさにそうです。店長本人たちも言っていたのですが、「社長いなくなっちゃったら、あれ、こういうときどうするんだっけ?」とお伺いを立てないと動けない、完全な指示待ち体質になってしまっていた。

仕事自体ができないわけではないんです。

ただ、仕事において一番重要な「ちょっとした判断」が自分たちでできない。


――なぜ、店長たちが自分で判断して指示を出せなくなっていたのでしょうか。


佐藤社長: 店長陣が、会社の理念ではなく、僕個人の魅力や人間性という「引力」だけで繋がっていたからです。だから、自分が指示を出す立場になったときに、やり方は頭で分かっていても、それを「言葉」にして部下に明確に出せない。結果として、現場では僕の意図とズレた解釈が日常的に放置されるようになってしまいました。



■ 現場の生産性を奪う、2時間会議の形骸化


――解釈のズレが放置されると、日々の業務や会議体にはどのような影響が出ましたか? 


佐藤社長: 意思決定や議論の「型」が定まっていないので、とにかく会議が長い。

現状、管理職の会議などが2時間平気でかかったりして、完全に長期化・形骸化していました。営業マンにとって、会議をしている時間というのは「営業活動ができない時間」そのものです。

これが現場の忙しさをさらに加速させ、生産性を著しく阻害していました。


――「やるべきことは分かっているのに、仕組みがないから時間がかかる」という悪循環ですね。 


佐藤社長: そう。月末に集まって、10人以上のお客様の進捗を1人ずつ「このお客様はどう?」「次はどうアプローチする?」と力技で壁打ちしていく。

本当は毎日やるべきお客様の管理が、月1回の会議でゴテゴテになって劣化しているから、取りこぼしも多くなる。型がないから、ただただ時間だけがすり潰されていくんです。


――その現状に対して、佐藤社長はどのような危機感を持たれたのですか?


佐藤社長: このまま人数だけを30人、50人と増やしていったら、組織が完全にカオスになって崩壊するなと確信しました。これまでは、僕個人のセールスとしての力と人間性の引力だけで回してきた、いわば「海賊船(文鎮型組織)」だったんです。

でも、これからは理念と仕組みで自律的に回る「軍艦(自律分散型ピラミッド組織)」に変えなければ、30人の壁は絶対に越えられない。



■ 現在地と目標のギャップ――「課題がないこと」が最大の課題


――組織を「海賊船」から「軍艦」へ変える。そのために、まずは何から着手すべきだと考えたのでしょうか。


佐藤社長: まずは、自分たちの「現在地」と「目標」を明確にして、そのギャップを徹底的に直視することです。よく「うちの会社は課題がなくて順調です」なんて言うミドルがいますけど、それは現在地と目標が見えていない証拠。僕は「課題がないことが最大の課題」だと思っています。目標が高ければ高いほど、ギャップとしての課題は山ほど溢れてくるはずなんです。


具体的な施策を手を上げて話している佐藤社長の様子。

――その課題を解決するための具体的な第一歩が、今回のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定なのですね。


佐藤社長: はい。これまでは個人のやり方やセンスに頼っていた仕事の進め方を、人数が増えても全員が迷わず協力できる『共通のルールと仕組み』へ、根底から作り直します。

その最初のピースがMVVです。僕が現場にいなくても、社員一人ひとりが「アローリンクの行動指針(バリュー)に照らし合わせると、どう動くべきか」を自律的に判断できる状態を、仕組みとして実装していきます。


――社長個人の引力に頼るフェーズを終わらせる、という覚悟ですね。


佐藤社長: そうです。僕の頭の中にしかなかった暗黙知を全て言語化して、共通のルールブックとして店長やメンバーに手渡していく。

これができないと、次世代のカッコいいオトナなんて絶対に育てられませんから。

アローリンクは今、まさに古い営業会社から、組織で価値を再現できる本物の住宅事業会社へと生まれ変わる、生々しい変革の過渡期にいます。



次回は、今回策定した5つのバリューを、どのように日々の仕事や評価と結びつけていくのか、具体的な「現場行動への落とし込み」についてお話しします。

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