成果だけでは、組織は強くならない。5つの「バリュー」から始めるアローリンクの組織改革
更新日:10月20日
前回は、拠点拡大によって生じた「解釈のズレ」や店長陣の自律化という、
アローリンクのリアルな現在地についてお話ししました。
連載第3回となる今回は、それらの組織課題を解決するために策定した
5つの行動指針「アローリンクプライド(バリュー)」と、
それを今後、日常の仕事や人事評価にどう落とし込んでいこうとしているのか、
その現在地と構想について佐藤社長に語っていただきます。
Mission(ミッション)=「なぜやるのか?」 意味:企業の存在意義や果たしたい使命。
質問:「社会の中で、自分たちは何のために存在しているのか?」 山登りで言うと:「なぜこの山に登るのか?」(例:大自然の感動を人々に届けるため)
Vision(ビジョン)=「どこを目指すのか?」 意味:企業が将来なりたい姿や実現したい未来。
質問:「数年後・数十年後、どんなゴールに到達していたいか?」 山登りで言うと:「どの頂上を目指すのか?」(例:3年後に標高3,000mの富士山頂に立つ)
Value(バリュー)=「どう行動するのか?」 意味:日々働くうえでの行動指針や大切にする価値観。 質問:「ゴールに向かうとき、どんなルールや約束事を守って進むか?」 山登りで言うと:「どうやって登るのか?」(例:安全第一で進む、仲間を置き去りにしない、ゴミは持ち帰る)
■ カッコいいオトナの登り方「アローリンクプライド」
ーー「カッコいいオトナ輩出企業になる」という目指すべき山が決まりました。その山を正しく登るための行動指針(バリュー)として、5つの「アローリンクプライド」を策定されましたね。
佐藤社長: はい。人間が日常的に意識できる限界の数である「5つ」に絞り込みました。
1番目『狂熱(Grit & Passion)』
2番目『徳の即断(Integrity First)』
3番目『圧倒的当事者(Drive)』
4番目『徹底利他(Value Delivery)』
そして5番目が『アローリンクの誇り(ARROW LINK Pride)』です。
これらは全て、私たちがプロとして成果を出しながらも品格を保つための具体的な行動ルールです。
ーー特に印象的なのが、3番目の「圧倒的当事者」という言葉です。 ここにはどのような想いがあるのでしょうか?
佐藤社長: 当初は「自己更新」という言葉を考えていたのですが、「圧倒的当事者」の方が圧倒的にパンチがあるし、日常の会話で口に出したくなる言葉だなと思ったんです。
「昨日の自分を軽々と超える、その成長こそが周囲を動かす引力になる」という定義も含めて、メンバーが自走するための強いエネルギーになってくれると確信しています。
ーー4番目の「徹底利他」も、不動産業界の古いイメージとは真逆にある言葉ですね。
佐藤社長: 旧来の「自分本位で無理に家をプッシュする」ような営業は徹底的に排除したい。
相手の想像を超えて役に立つ、その「お節介」が結果として信頼を生み、次の経済を回す種になる。
ただの綺麗なスローガンではなく、これがアローリンクで生きる上での「正しい歩み」なんだと、全員に腹落ちしてほしいんです。

■ 毎日朝礼による「コミュニケーションOS」のアップデート
ーーバリューは壁に飾るだけでは意味がありません。
これを日常の仕事に溶け込ませるために、今後どのような仕組みを取り入れていくのでしょうか?
佐藤社長: 現在、一部の朝礼やミーティングでバリュー浸透に向けた運用テストを進めている段階ですが、今後はこれを全社的な「毎日朝礼(15〜30分)」として仕組み化していく予定です。
そこでは、メンバーにバリューの実践エピソードを自らの言葉で語ってもらう場を作ります。
やる気になったから行動するのではなく、行動する機会を仕組みとして作ることで、脳内に理念を定着させていくアプローチですね。
ーー朝礼で「本音」をアウトプットしてもらうことには、どんな狙いがあるのでしょうか。
佐藤社長: メンバーが日常の業務で抱いた違和感や本音を言える「心理的安全性」を作りたいんです。本音を言ってもらわないと、社長の意図と現場の間にどんな「解釈のズレ」が起きているか気づきません。朝礼の場で現場の率直な意見を歓迎し、そのズレを日々修正していくことで、組織全体に強固な「阿吽の呼吸」を再現していきたいと考えています。
ーー会議体そのものについても、今後構造を見直していくと伺いました。
佐藤社長: 現状の長期化・形骸化した2時間会議を徹底的に撲滅し、生産性を最適化していきます。ミドル層(店長陣)にはすでに『ファシリテーションの教科書』を手渡し、議論を目的達成へと導く技術として訓練を進めています。
単なる司会進行ではなく、参加する意義を明確にし、短時間で最大のインパクトを出す会議体へとアップデートしていきます。
■ 具体と抽象の往復――「経済」と「道徳」の正しい連動
ーー組織や理念の話(抽象)が増える一方で、足元の売上(具体)がおろそかになり、現場に不安が生じるというジレンマについてはどうお考えですか?
佐藤社長: 現場へのバリュー浸透に向けた対話を始めている現在、まさにそのモヤモヤに直面しています(苦笑)。理念の話ばかりしていると、足元の泥臭い数字作りの匂いが薄れてしまう。
でも逆に、売上の話ばかりしていると、「俺たちは何のために仕事をしているんだっけ?」と迷子になってしまう。
ーーだからこそ、会議の中でも「具体と抽象を往復し続ける」ことが不可欠なのだと。
佐藤社長: その通りです。
二宮尊徳の言葉を借りれば、「経済なき道徳は寝言であり、道徳なき経済は犯罪」です。 メンバーが具体に偏っていたら「それって何のためにやるんだっけ?」とバリューという羅針盤を示し、逆に抽象に偏っていたら「今月の足元の数字はどうなってんの?」と具体に戻してあげる。
この往復を常にやり続けるのが、リーダーの役割だと深く理解しています。

■ そろばんとロマンを連動させる「人事評価制度」の構想
ーーこの変革をさらに進めていくために、今後は人事評価制度についても見直していく構想があるそうですね。
佐藤社長: はい。現行の売上(そろばん)一辺倒の評価制度から、中長期的に脱却していきたいと考えています。売上だけでなく、会社のバリューを反映した「ロマン」の部分も評価に取り入れながら、今後制度を整えていく構想です。
どれだけ家を売って数字を上げていても、チームの調和を乱したりバリューに反する行動をとる一匹狼は、アローリンクでは正当に評価されない。
そんな考え方を、今後の評価制度にも反映していきたいと思っています。
ーー数値化しにくい「バリューの体現度」を、どのようにして客観的かつ公平に評価していくのでしょうか?
佐藤社長: ここも、これから具体的に仕組みを作って検証していく部分です。
将来的には、日々のチャットログや活動データから、AIを活用してバリューの体現プロセスを客観的に抽出することも視野に入れています。
DX担当者とも連携しながら、感覚的な評価ではなく、データに基づいた透明性の高いプロセスにしていきたい。正しい努力を歩む美しい姿勢の社員が公平に報われる仕組みを目指していきます。
ーー新たな評価制度の導入など、これからの変革が非常に楽しみです。
佐藤社長: これまでは、僕個人の引力だけで引っ張ってきた「海賊船」でした。
でも、このバリューと、今後整えていく評価制度などの仕組みが連動することで、アローリンクは全員が同じ行動ルールを共有した「軍艦」へと進化していくと考えています。
今後は、こうした仕組みをミドル層へ手渡し、組織全体で実践できる状態をつくっていきます。
ーー次回はいよいよ最終回ですね。どんなお話が聞けるのでしょうか?
佐藤社長: 次回は、僕がこの変革のバトンを店長陣にどう手渡していくのか、そしてアローリンクという組織が最終的に目指す「ロマンの未来」について、全4回連載の締めくくりとして本音でお話しします。



コメント